FLコストと言う言葉を初めて聞く方や、既に店舗に取り入れている方も、もう一度、FLコストを基礎から学び、店舗で活用することによって、利益管理に役立てましょう。
writer:Asuka Food Consulting
Table of Contents
FLコストとは
「F」は Food costs(フードコスト)の頭文字
原価(食材費)のこと。
「L」は Labor costs(レイバーコスト)の頭文字
人件費のこと。
「FLコスト」とは、
フードコスト(原価率)と、レイバーコスト(人件費率)を合わせたコストのことで、数値(%)で表します。
■フードコストの計算式
使用した食材(原価)÷売上高×100%=原価率(フードコスト)
■レイバーコストの計算式
掛かった人件費÷売上高×100%=人件費率(レイバーコスト)
企業によっては、数値で表しますので、FコストをF値(エフチ)、LコストをL値(エルチ)と言ったりもします。
上記で算出した、フードコストとレイバーコストを足すと、FLコストになります。
※使用した食材(原価)は、実際原価を利用するのが望ましいですが、実際原価を計算していないお店は、仕入原価を基に計算してみましょう。
FLコストの適正値は?
一般的には、60%前後です。
要するに、売上の半分以上を原価と人件費が占めているということです。
FLコストは、FコストとLコストの合算ですので、それぞれの割合は、
カフェや居酒屋、日本料理店などの業種と、ファーストフード店のようなセルフサービスや居酒屋のようなフルサービスによる業態の違いによって異なります。
しかし、合算すると概ねどの業種業態も60%前後になります。
なぜ、FLコストを管理するのか?
コスト(経費)は、変動費と固定費に分かれます。
変動費とは、売上によって増減させる費用のことで、原価と人件費がこれにあたります。
固定費は、売上によって変化しない費用のことで、家賃や金利、リース料などです。
ショッピングモールなどへの出店では、家賃は売上の〇%となっている場合があります。
売上からコストである、変動費と固定費を差し引くと、利益または損失となります。
固定費は売上によって変化しないため、店長はコントロールできません。
FLコストは変動費ですので、売上を予測して仕入や勤務シフトを調整することによりコントロールすることが可能です。
FLコストは売上の60%ほどを占めます。諸経費は7%ほど。
したがって、売上に占める割合が圧倒的に高いFLコストを重点的に管理(コントロール)できれば、利益に与える影響も高くなるのです。
変動費であるFLコストは、店長が売上によって増減させる費用であり、売上に対して適切な利益をだすことが目的となります。
ココに注意
「増減させる費用」とは、売上によりコントロールすることができる費用ということです。
売上によって勝手に増減してくれる費用ではありません。したがって店長は、コントロールする方法を学ぶ必要があります。
FLコストが60%を超えているとダメなのか?
自店のFLコストが60%を超えているからと言って、絶対に60%に合わせないといけないことはありません。
60%を超えていても、継続的に利益が出ているのであれば、それが、あなたのお店の強みになっている場合もあるからです。
例えば、ある郊外のロードサイド店舗。20台の駐車と約80席の店内スペースで、家賃比率が3%(通常家賃比率8~10%)また、電車の高架下なども家賃が安く、原価にお金をかけていても儲かる構造になっているお店もあります。
FコストとLコストの割合は
FコストとLコストの割合は、業種と経営者の考え方によって変わります。
例えば、回転ずしのように、食材に原価(50%近く)が掛かるような業態は、Fコストが高くなるため、提供に回転レーンを使用したり、注文はタッチパネルなどを導入することによりLコストを削減しています。
カフェのような、ドリンク主体の業態であれば、Fコストは低く、場合によっては、Lコストの方が高くなります。
セルフサービスのカフェは、ドリンクの比率が高く、セルフのため人件費も低くなり、結果としてFLコストを低く抑えることができます。その為、家賃の高い都市部にも出店できるのです。
チェーン店でも立地によってFLコストは異なります。
チェーン店でビジネス立地にあるカフェは、ドリンクの比率が高くなり、結果としてFコストも低くなります。郊外立地では、フードの比率が高くなるため、Fコストも高くなる傾向にあります。
チェーンの居酒屋も同じで、同じメニュー同じ価格であっても、ドリンク主体のお客様が多ければ、Fコストは低くなり、食事需要が多い立地であれば、Fコストは高くなります。
Fコストの数値は実際原価の数値
Fコストの数値は、実際原価計算で算出された数値を使用します。
実際原価計算をされていないお店は、理論原価または、仕入原価を基に計算してください。
実際原価は実際に掛かった原価が算出されるので、実際原価を基にFコストを計算されるのが望ましいのです。
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Lコストの人件費は総支給額
Lコストの人件費とは、給料・手当・賞与・法定福利費・福利厚生費などを含む総支給額のことです。
店舗によっては、教育費や求人費なども含めて人件費として計上していることもありますが、Lコストのみを人件費の指標としている場合、教育費や求人費は分けて計算された方が良いです。
理由は、求人費を3万円とすると、PA時給千円×30h分と同額となり、実際に店舗で働いている人件費の増減原因をつかみにくくなるからです。
お店の現在から過去の分の月毎の「Fコスト」「Lコスト」「FLコスト」を算出してみましょう。
FLコストの管理方法
FLコストとは、先に説明したとおり、Fコスト(原価)とLコスト(人件費)の数値を合算した数値です。
したがって、FLコストを管理するには、原価と人件費を別々に管理する必要があるのです。
原価を管理するには、原価管理を、人件費を管理するには、計数管理及び人材管理を参考にして下さい。
まとめ
FLコストとは、フードコストである原価とレイバーコストである人件費を合算した数値のこと。
売上に占めるFLコストの割合は60%前後であり、飲食店の構造上、非常に高い比率です。
売上が300万のお店で適正FLコストが60%としたときに、着地が61%なら、金額に直すと3万円の損失です。売上が1000万なら10万円になります。
たった1%でも売上により大きくなるのです。
チェーン店などでは、昇給やインセンティブ等の査定に、FLコスト管理を取り入れているところもあります。