ここでは、人時売上高と他の指標との関係性をみていきます。
他の指標との関係性を見ることによって、より深く人時売上高を知ることができます。
各項目ごとに問題を設定してありますので解いてみて下さい。
writer:Asuka Food Consulting
>人時売上高の基礎知識はこちら
>人時売上高 目標5000円以上の理由はこちら
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人時売上高と平均時給の関係
平均時給は、人件費÷総労働時間で計算されます。
また、人時売上高×人件費率でも算出可能です。その場合の平均時給を支払い可能平均時給といいます。
※人時売上高とは、売上高÷労働時間 一人一時間当たりの平均売上高のこと。
※人件費率とは、人件費÷売上高×100% 売上高に占める人件費の割合のこと。
従って、従業員(社員+アルバイト)一人が一時間に稼ぐ売上高に、人件費率を掛けることにより、一人一時間当たりの平均時給が計算される。
労働分配率×人時生産性でも平均時給が計算されます。
問題1
人時売上高 3500円
人件費率 30%
支払い可能平均時給はいくらですか?
解答1
3500円×30%=1050円
支払い可能平均時給は、1050円
支払い可能平均時給をアップするには、計算式より人時売上高を上げるか、人件費率を上げるかでアップしますが、
人件費率をアップすると必然的に利益が減少します。したがって、支払い可能平均時給を上げるには人時売上高を上げることになります。
3500円 × 30% = 1050円〇
3500円 × 34% ≒ 1200円 ✕
4000円 × 30% = 1200円 〇
上記は、人時売上高のみを 500円上げることによって、支払い可能平均時給を150円アップできることを意味しています。
ココに注意
平均時給を上げるには、人件費率ではなく、人時売上高を上げる
問題2
労働分配率40% 人時生産性3,000円 一人当たりの月間労働時間200時間の時の支払い可能平均時給と支払い可能月間平均賃金はいくらか?
解答2
40%×3,000円=1,200円(支払い可能平均時給)
1,200円×200時間=240,000円(支払い可能月間賃金)
人時売上高と接客生産性の関係
接客生産性とは、
客数を労働時間で割ることにより、一人の従業員が一時間当たり、何人のお客様に対応したかを表します。
人時接客指数や労働指数ともいいます。
人時売上高と同様に、接客生産性を勤務シフトに使用できます。
目標来店数を、目標接客生産性で割れば、従業員の必要人数が計算できるからです。
例えば、
12時から13時 目標来店数 50人 目標接客生産性 5人 とすれば、
従業員の必要人数は 10人です。
また、接客生産性に客単価を掛けると、人時売上高が計算できます。
接客生産性は、一人一時間に何人のお客様に対応したかと言うことですので、対応した人数である接客生産性に客単価を掛けるば、一人一時間当たりの売上高である人時売上高が計算される。
問題3
人時売上高 4000円
客単価 1000円なら
接客生産性はいくらですか?
解答3
接客生産性×1000円 = 4000円
接客生産性 = 4人
接客生産性を勤務シフトに使用する場合も、過去のデータを参考にしてみましょう。
あなたのお店の労働時間は適正ですか?
表の「1月の労働時間」を見て下さい。
労働時間は1100時間となっており、営業日数は30日です。(元旦のみ休業)一日平均労働時間は約36.7時間。お店の営業時間は10時間。一時間当たりの接客生産性は、3.7人となります。あくまでも平均ですが、この時間帯当たりの人数が果たして必要かどうかもう一度検討してみましょう。
また、平均接客生産性を算出し、時間帯ごとの接客生産性を算出することにより、どの時間帯が平均より上回っているのか? また、どの時間帯が平均より下回っているのかが分かります。
接客生産性が平均より上回っていれば、サービスレベルが低下していないか?
下回っていれば、投入人数が多かったのではないのかということを考察します。
PAの早上がり対応について
勤務シフトは売上予測に基づいて作成しますが、予想を下回った場合には、早上がりをしてもらいましょう。事前に朝礼やミーティング等で理由も含めて話しておきます。
お店が暇でスタッフを早上がりさせた後、急に忙しくなる場合も時としてあります。その場合は、失敗したと嘆くのではなく、気合を入れ直してマンパワーで乗り切るのです。
人時売上高の管理方法
人時売上高を管理するには、下記の項目が必要です。エクセル等で作成してみましょう。
・当日売上高
・当日労働時間
・当日人時売上高
・累計人時売上高(平均)
式は、
当日売上高 ÷ 当日総労働時間 = 当日人時売上高
<上記の表からの考察>
このお店はどの月も人時売上高が4000円にも達していません。
■人時売上高4000円達成に必要な売上高
仮に1月人時売上高を4000円にするために必要な売上高を計算すると、
4000円×1100時間=440万円
の売上が必要だったということです。
売上は60万円足らない計算です。この店の客単価は約1000円ですので、60万円÷1000円=600人となり、あと600人のお客様が必要だったということ。一日当たりでは、600人÷30日=20人必要となります。
■人時売上高4000円達成に必要な労働時間
売上は現状のままで、労働時間を何時間にすればよかったかを計算すると、
380万円÷4000円=950時間となります。
労働時間は150時間の削減が必要だったということです。
一日当たり、150時間÷30日=5時間。PA一人がほぼ抜ける計算となり、急に実行すればサービスレベルの低下を招き売上の減少結果となります。
現状の1月の人時売上高が3455円で、4000円にするには545円足らないだけですが、いきなり4000円とするには上記の分析より、ハードルが高いかもしれません。
このような場合は、段階をへて人時売上高を上げる方向で考えるべきです。
接客生産性からも確認することができます。
380万円÷1000円=3800人。3800人÷1100時間=3.5人です。業態はカフェで客単価が1000円ですので、一人一時間当たりの接客人数(接客生産性)は低いと思います。平均で4~5人ぐらい。ですので接客生産性からみれば、人員削減による労働時間の削減も可能な時間帯があるのではないかと予想します。
このお店の目標人時売上高を設定するにあたり、150円~200円ぐらいのアップから始めてみることです。
来期の1月の人時売上高を200円アップした場合の労働時間削減数は
来期の1月目標売上高380万円×103%=392万円。392万円÷3655円=1073時間となり、今季より27時間の労働時間削減が必要。30日で割ると一日当たり約1時間の削減となります。
※来季の1月のアップが103%とは、過去のデータからアップ率を計算。
まとめ
初心者の方は、まず自店の人時売上高がいくらなのか算出しましょう。
人時売上高が低いからと言っていきなり高い目標を掲げても計画倒れになるだけです。届きそうで、もう少し頑張れば届くというぐらいの設定にし、徐々に上げていく努力をしましょう。
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