あなたのお店は儲かっていますか?それとも儲かっていないですか?
もし、利益が出ていなければ、いくら売上高を上げれば利益が出るのか?
損益分岐点を理解することによって、これらを解決することが可能となります。
writer:Asuka Food Consulting
>図で学ぶ損益分岐点を下げる方法はこちら
>利益感度分析はこちら
損益分岐点売上高の公式
損益分岐点とは、「損」もしていないが「益」(利益)もでていない状態のこと。
損益分岐点売上高とは、「損」も出していないが、「益」(利益)もでていない売上高のこと。
損益分岐点売上高を求める公式は、
これを覚えておくだけで、損益分岐点売上高が計算できるのです。
各項目の意味を、図を使って初心者の方にもわかりやすく説明していきますね。
飲食店の損益計算書
下記の表は、お店の損益構造を簡易的に表した「簡易損益計算書」です。
この表を基に損益分岐点を説明していきます。
表1 簡易損益計算書
企業がどれだけ儲けたかを、「企業の経営成績」といい、損益計算書は企業の経営成績を表すものです。
下記は、表1簡易損益計算書の各項目と各項目の詳細についてまとめたものです。
あなたのお店の簡易損益計算を作成するときに参考にして下さい。
項目 | 詳細 |
■原材料費 | 飲料費と食材費の合計 |
■人件費 | 社員とアルバイトを合わせた総支給額 |
■諸経費 | 光熱費、通信費、販促費、消耗品費、雑費など。 |
■賃借料 | 地代、家賃 |
■減価償却費 | |
■支払金利 | 返済、利子 |
本来、損益計算書は、上記の「詳細」ごとに記載しますが、ここでは、詳細をまとめた「項目」を利用した簡易損益計算書として記載しています。
変動費と固定費、限界利益とは
損益分岐点を計算するには、
「変動費」「固定費」「限界利益」
この三つの事柄について知る必要があります。
表1の簡易損益計算書を利用して説明していきますね。
変動費と変動費率
変動費とは、売上によって変動する費用のこと。
表1の、原材料費、人件費、諸経費が変動費となります。
※社員の人件費は固定費ですが、ここでは簡易的にアルバイトを含めた人件費として合算しています。
変動費の合計は
原材料費、人件費、諸経費を足すと、225万円。
この、225万円が変動費です。
変動費率は
変動費を売上高で割った数値が変動費率です。
225万円÷300万円×100%=75%
したがって、変動費率は 75%となります。
ココがポイント
変動費とは、売上高によって変動する費用のことであり、飲食店の場合、原材料費、人件費、諸経費が変動費となります。
表1の変動費率 75%とは、飲食店の一般的な数値です。したがって、飲食店では、売上高の 75%ほどが変動費(率)として掛かるのです。
固定費と固定費率
固定費とは、売上によって変動しない費用のこと。
賃借料、減価償却費、支払金利等が固定費です。
賃借料とは、土地や家賃、リース代などのことで、基本は売上などにより変動しない固定費ですが、商業施設などのテナントなどは、売上により変動する変動費契約の場合もあります。
固定費の合計は
賃借料、減価償却費、支払金利を足すと、60万円。
この、60万円が固定費です。
固定費率は
固定費を売上高で割った数値が固定費率です。
60万円÷300万円×100%=20%
したがって、固定費率は 20%となります。
また、これらは開業前に決定している費用ですので、賃借料、減価償却費、支払金利を、「初期条件」とも言います。
限界利益と限界利益率
売上高から変動費を引いた残りを、限界利益といいます。
300万円-225万円=75万円
限界利益は、75万円です。
限界利益を売上高で割った数値を限界利益率といいます。
または、
75万円÷300万円×100%=25%
限界利益率は、25%です。
ココがポイント
限界利益は売上高から変動費を差し引いたもの。
ここまでの内容をまとめると、
売上高-変動費-限界利益=利益または損失
損益分岐点売上高とは、利益または損失がゼロの時の売上高ということです。
損益分岐点を理解する
損益分岐点とは
損益分岐点とは損もしていないが益(利益)も出ていない状態のことです。
表1の利益の欄が、0万円(利益率0%)の状態のこと。
損益分岐点売上高とは
損もしていないが益(利益)も出ていない状態の売上高のこと。
損益分岐点客数とは
損もしていないが益(利益)も出ていない状態の客数のこと。
損益分岐点の計算方法
損益分岐点売上高の算出方法
式で表すと、
表1の場合、固定費は60万円、変動費率は75%ですので、
60万円 ÷ (100% - 75%) = 240万円 損益分岐点売上高
※(100%-75%)とは、売上高を100%としたとき、変動費率を引くと、限界利益率が算出される。
要するに、
限界利益の額と固定費の額が同じになった時点が、
損益分岐点売上高になるのです。
ココがポイント
売上高から変動費を引くと、限界利益が算出され、限界利益の額と固定費の額が同じになった時の売上高が損益分岐点売上高ということです。
これを一つの式にまとめると、
このページの一番最初にでてきた計算式になります。
※上記の式を覚えておけば、損益分岐点売上高を算出することができます。
従って、損益分岐点売上高を算出するのに必要な項目は、
「売上高」「変動費」「固定費」の三つです。
損益分岐点売上高計算順序
➀ 変動費 ÷ 売上高 × 100% = 変動費率
➁ 1 (100%) - 変動費率 = 限界利益率
➂ 固定費 ÷ 限界利益率 = 損益分岐点売上高
損益分岐点客数の算出の方法
上記で、損益分岐点売上高はわかったと思います。
それでは、「損」もでていないが、「益」もでていないときの「客数」はいくらになるのかを説明します。
客数×客単価=売上高
客数に客単価を掛ければ、売上高が計算されます。
では、客数はどのように計算すればよいかと言うと、
上記の式から、売上高÷客単価=客数 です。
上記で計算した、損益分岐点売上高を客単価で割ると、
240万円÷1000円=2400人 (損益分岐点客数)
※この店の客単価を1,000円とする
損益分岐点客数は、2400人となります。
まとめ
売上が上がっていても、利益が出ていなければ、お店の存続はありません。
損益計算書を作成することによって、利益が出ているかどうかを知ることができるのです。
損益分岐点を知ることにより、利益が出ていなければ、いくら売上を上げれば利益が出るのかを知ることができます。
追記:上記のお店は、240万円の売上高が損益分岐点売上高でした。と言うことは、240万円以上売上ないと利益がでないことになります。
もし、損益分岐点が230万円に下がれば、現状の売上が240万円になったとしても利益がでるのです。
要するに、損益分岐点は低ければ低いほど利益が出やすくなるのです!!
図で学ぶ損益分岐点を下げる方法はこちら↓
-
-
飲食店 図で学ぶ損益分岐点を下げる方法
損益分岐点が下がれば利益が出やすくなります。 では、どのようにすれば損益分岐点が下がるのでしょうか? ここでは損益分岐点の下げ方について説明します。 また、各章ごとの問題を解くことにより、より理解が深 ...
続きを見る
より深く損益分岐点を学びたい方はこちら↓
-
-
飲食店 利益感度分析
本内容は、飲食店の価格や客数、コストの増減により、利益に与える影響を考察した内容となっています。損益分岐点分析(CVP分析)とも言います。先に学んだ損益分岐点について、様々な条件下でのシュミレーション ...
続きを見る