人材管理

飲食店 「アルバイト導入時の教育」 初出勤のアルバイトへの指導方法

Asuka Food Consulting

はじめまして。Asuka Food Consultingでは、長年の飲食事業経験で得た、知識や経験を基に飲食事業者様をサポートしております。 ※サポートのご依頼は、「サポート依頼ページ」をご覧ください。

ここでは、アルバイトを採用した後、アルバイト入店初日までに店側が準備しておく内容と、入店初日に現場に入ってもらう前に行う教育について説明します。

現在もそうですが、大手チェーンや個人店において、アルバイト初日、出勤後、制服に着替えさせ、直ぐに現場に配置するお店が多く存在します。

その前に、新人アルバイトを迎える準備や、マニュアルの整備、マニュアルがなければ、どのように教育し、いつまでに戦力化するのかの計画を事前に描いておかなければなりません。

入店初日を「戦略化する第一歩」と捉え、この先、スムーズに成長してもらうため、本文でアルバイト導入時の教育の重要性を認識し実践してください。

 

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新人アルバイトを迎える為の店側の準備

アルバイト教育を説明する前に、制服等のアルバイトへの貸与品について記載しておきます。

お店によっては、新人アルバイト初日入店前に制服等の準備をしたり、入店してから新人アルバイトの前で揃えだす方もいます。

最悪、合うサイズがなかったり、必要なものがそろわなかったら、「今日から頑張ろう!」と思っているアルバイトに対して失礼でもあり、モチベーションを下げる結果になります。

そうならないために、店側の事前準備を下記を参考に整えておいてください。

・制服
・エプロン

個人店であっても、制服とエプロンは貸与しましょう。制服やエプロンを統一されているお店は、それだけでお客様に良い印象を与えます。

ポロシャツにお店のロゴを入れたい場合、既製品のポロシャツを購入してからロゴを後でいれるより、ロゴ入りのポロシャツを一括で依頼した方が安価な場合があります。

・キャップ(帽子)
・バンダナ
・くつ
・名札
・メモ帳とボールペン

・タイムカード
・必要書類

アルバイト雇い入れ時の「必要書類」として、雇用契約書/給料振込口座/誓約書/保護者同意書/マイナンバー提出書等が必要になります。ここでは、アルバイト導入時の教育をメインに説明します。

>人を雇うときのルール 厚生労働省

その他、私物(鞄や衣類など)をいれるロッカーまたはバスケットの用意。制服の埃とり(ローラー)など。

これらは、新人アルバイト初日の出勤前に、〇〇さん用と記して、ひとまとめにして用意しておきます。

名前を記して用意しておくことにより、あなたを迎え入れる準備を店側はしていますよ。という意思表示となり、相手に安心感・安堵感を与えます。

 

面接が終わり、その場で採用決定した場合は、できれば面接終了後に、制服やくつなどのサイズ合わせをしてもらいましょう。

数日後に電話にて採用を伝える場合は、制服を着用する必要がある旨を伝えて、初出勤より前にサイズ合わせに来てもらうか、無理ならその旨を伝えてご本人の了解を得た上でサイズをお聞きしましょう。

また、制服は貸与とすることにより、初日勤務で辞めた場合、クリーニングすることにより再使用することも可能な場合も多々あります。

長期勤務者が退職する場合もクリーニングして返却してもらいます。ですので、制服を含む貸与品一式に関する取り決めを必要書類としておくことをお薦めします。

着衣は知らない間に汚れてしまいます。汚れた制服での接客はお客様に対して失礼です。毎朝の朝礼時にはアルバイト同士でお互いの着衣チェック(身だしなみチェック)を行いましょう。また、三か月に一回 個人面談時に貸与している予備の制服を持参してもらい店舗責任者自らチェックします。もし、クリーニングしても無理だと判断すれば、新しい制服を支給しましょう。

 

新人アルバイト初出勤日、タイムカードを打刻し、制服に着替えてからオリエンテーション(OFF-JT)を実施します。

 

オリエンテーションの実施

オリエンテーションとは、あらたに加わる者が円滑に活動できるよう、受け入れる側が指導することです。

 

オリエンテーションを実施する目的は、

飲食店で働く目的を共有し、お店のルールを知ること

 

オリエンテーションを実施する場所は、事務所や更衣室など静かな落ち着ける場所を利用して、アルバイトと店舗責任者がテーブルをはさんで内容を説明しましょう。

 

時間は15分程度とし、相手からの質問等があれば時間を延長します。

時間を15分程度としている理由は、

現場の作業を詳細に話しても、飲食店で働いたことがなければイメージできません。時間が長くなればなるだけ相手にとっては苦痛に変わります。

従って、店側は15分程度で話し終わる内容を事前に考えておきます。

この後に説明する「ハウスルール」を文書化し説明すると良いでしょう。

 

例えば、お出迎え時の挨拶「いらっしゃいませ」

意味・・・沢山お店がある中で当店をお選びいただき有難う御座います。
いつ・・・入口ドアが開いてお客様が見えたら
Point・・・お客様を見て笑顔で。

などと、ハウスルールに記載し、オリエンテーション時の説明は、

お迎え時に「いらっしゃいませ」の部分のみとします。

その他の詳細については、現場教育(OJT)での説明とします。

 

お客様をお迎えするときの挨拶「いらっしゃいませ」ですが、お店によっては、「いらっしゃい!!」「こんにちは いらっしゃいませ」であったり、地方の一部の店舗では、「おこしやす」(京都)など、異なるのです。店側が当たり前に使っている挨拶も、新人アルバイトにとっては初めてのことになります。当たり前のことこそ教える優しさをもちましょう。

 

次にオリエンテーション内容を説明します。

 

アルバイトへの理念教育

飲食店で働く目的を説明することにより、価値観を共有する。

アルバイトは様々な目的をもって、あなたのお店に応募します。例えば、お金。お金を稼ぐことによって、アルバイト自身が欲しいものを得るためです。

 

それらは、アルバイト自身の働く目的であって、飲食店で働く目的ではありません。

 

では、お店の目的とはなんでしょうか?

お店は売上を上げて利益を出し続けることによって継続して運営する必要があります。

 

それを達成する為に、飲食店で働く全スタッフは、

「来ていただいたお客様に満足してもらい、幸せな気持ちになってお帰り頂くこと。」

これが、飲食店で働く目的なのです。

 

お金を稼ぐことだけが目的であれば、飲食店で働かなくても良いわけです。

この、「来ていただいたお客様に満足して、幸せになってお帰り頂くこと」
を教えることにより、全員が同じ方向を向いて進むことができるのです。

 

重要なことは、理念教育をオリエンテーション時だけに終わらせないこと

店舗責任者は、理念を記し額に入れてお客様の目に見えるところに掲げ、朝礼や終礼、ミーティング時等、事あるごとに声に出して理念を思い出させ、一人一人の日々の行動が理念に照らし合わせて実行できているのかどうかを確認し評価しなければなりません。

評価とは、できていなければできるようにアドバイスをし、できていれば承認(褒める)してあげることです。

それを継続し続けることによって、理念が浸透していくのです。

経営理念がすでにあるお店(会社)は、あなたのお店(会社)の経営理念を教えてあげて下さい。

 

次にその目的を達成するためには、

仕事を覚え、ルールを守ること。

この二点についてアルバイトに説明します。

 

お仕事の説明

 

この説明を導入時に口頭で話す場合、概要のみを説明します。

ホール フルサービス店の例)

➀お迎え
➁ご案内
➂受注
➃提供
➄ラウンド
➅会計
➆お見送り
⑧バッシング

⑨サイトワーク
⑩清掃

※サイドワークとは準備のこと。お冷やおしぼりの準備、釣銭の準備など各項目をスムーズに実施できるように準備しておく作業のこと。

箇条書きにすると上記の流れです。

オリエンテーションでは、お客様に対する作業の流れだけを説明するのであって、それぞれのやり方や注意事項などは、現場(OJT)で教えます。

 

アルバイトには、ポケットに入るぐらいのメモ帳とボールペンを支給し、指導者からの内容を常時メモするようにしてもらいましょう。

 

 

上記はフルサービスの基本の流れですが、セルフサービス店やタッチパネルの導入により、伝票に記入してキッチンに伝達の部分が省かれたり、商品提供のロボット化により配膳業務が簡素化、セルフレジを導入しているお店であれば、そのことを伝えます。

 

ルールの説明

ルールとは、お店で働く全スタッフが円滑に仕事を遂行するためにある

例えば、出勤は10分前とし、出勤後タイムカードを打刻し終わったら、速やかに所定の作業服に着替え、本日の連絡事項等に目を通してから仕事を始める等の出勤時のルールや退社時のルール。

その他、休憩時間、勤務シフト提出、まかない、携帯電話禁止等のルールなどお店で働く為の自店のルールを説明します。

アルバイトテロ防止について
昨今、話題になるアルバイトテロですが、現場に携帯電話を持ち込まないことを徹底してください。特にポケットに入れたままの仕事は厳禁です。更衣室やロッカーあるいは、店舗責任者保管とします。また、バイトテロによる被害について、店側の損害と加害者側の損害についても、オリエンテーション時にしっかり説明が必要です。

 

ルールを作るときに注意することは、法律にのっとっているかと言うことです。

例えば、シフトでは8時~12時となっていてるのに、30分前出勤ルールというのを作り、8時にタイムカードを打刻するように指示することは違法です。

この場合は、7時半出勤 8時作業開始とし、7時半の出勤時にタイムカードを打刻する必要があります。

自店のルールが法に違反していないか、また、法にはなくても道徳上、社会通念上問題ないかを今一度考えてみましょう。

もし、法に違反していれば、理念教育内容や現場でお客様の為に〇〇しましょう。と言ったところで、法律に違反しているお店が何を言っているのかとなり、素直に心の底からお仕事をしてもらえなくなります。

>労働基準法の基礎知識 厚生労働省

 

ハウスルールの活用

ハウスルールとはお店で働く為のルールを文書化した冊子のことです。

これまで説明した、理念教育や仕事の大枠、お店のルールや身だしなみ。昨今ではコロナ対策としての衛生管理等について文書化し、これを活用しながら説明すると良いと思います。

もしハウスルールを文書化していなければ、この際、文書化してみましょう。

➀会社概要
➁経営理念
➂飲食店とは
➃接客8大用語
➄基本心得
➅身だしなみ
➆挨拶 言葉遣い
⑧就業規則
⑨お店のマナー
⑩クレーム対応
⑪報告・連絡・相談

上記はハウスルールに記載する内容の一例です。上記を参考に作ってみましょう。

作成したハウスルールやその他のマニュアル等は、いつでも見れるように、更衣室などに置き、持ち出しは厳禁としておきます。

ハウスルールを作るとき下記ページも参考にご覧ください。
>店長が行うべき八つの仕事

 

ハウスルール作成依頼は
>Asuka Food Consulting 迄どうぞ

 

退店前に新人スタッフと本日の振り返り

アルバイトが上がる15分前に、今日実施した仕事の内容やお店の雰囲気などについて話す時間を必ずとります。

退社の時間が来たら次回の勤務シフトを伝えるだけで帰ってもらうのはNGです。

 

 

入店前15分と同じように、事務所など店舗責任者と二人だけで話せる場所が望ましいです。

➀ トレーナーからの聞き取り

➁ 新人アルバイトからの聞き取り

本人ができると思っていても、指導者からみればまだ十分ではない場合があります。その時は、何が足らないのかを詳しく説明します。

逆に、指導者からは出来ると判断されていても、本人にとってはもう一度教えてほしいと要望があれば指導にあたります。

 

できるかな表

「できるかな表」とは、教える項目を一覧表として作成し、上記の例で言うと、➀お出迎えが一人でできる状態になれば、〇をつけるなどとします。覚える側も〇の数が増えるごとにステップアップしていると感じられますし、違うスタッフが指導に当たるときにも、今日は何を教えればよいかを共有することができます。

また、研修期間を設けているお店であれば、全ての項目に〇がついた時点で研修終了ということを伝えることができ、新人アルバイト自身の目標にもなるからです。

 

私が初日の方にお伝えするのは、「仕事を始めて3~5回(日)は、覚えることばかりで、何が何だかわからない状況に陥っているかもしれません。しかし、7回(日)ほどたつと、今何をするべきかがわかってきます。(仕事が見えてくる)

そうなるために、教えてもらったこと(メモ)は覚えてくる努力をし、忘れてしまったことや、あやふやな内容は何度でも聞いてください。」

とお伝えします。そうすることにより安心感を持っていただけます。

人には覚えの早い方、遅い方様々です。また、A君にはこの方法で覚えたので、B君にも同じ方法で指導しても覚えられないといった経験があると思います。

その場合は、その人に合った覚え方を指導者が考えて教えてあげるようにしましょう。

 

入店初日から二回目、三回目は必ず退店前に聞き取りを実施。

その後は、週の終わりごと。例えば、月水金と勤務なら、金曜日の退店前に話す時間をとる。

二か月目からは、二週間毎

三か月目からは他のスタッフと同じように一ヶ月ごとに個人面談を実施します。

 

>個人面談の重要性はこちら

 

初日のアルバイト教育の注意点

ここからは、初出勤者への指導における注意点を記しておきます。

上記の内容に加え、下記の注意点を意識することにより、早期の離職を防ぐことができます。

 

初日の作業は詰め込み過ぎない

朝礼を実施しているお店であれば、朝礼時に既存スタッフに紹介しましょう。朝礼を実施していなかったり、営業途中からの出勤であれば、既存のメンバー1人づつ紹介していきます。

初日の仕事については、既存スタッフはどのように接客しているのか、お料理を作っているのかを見てもらいましょう。

上記の例で言うと、「今日はバッシングを中心に教えていきます。他の仕事もすると思いますが、バッシングを覚えて帰ってね。」と言うように「本日覚えてもらいたいこと」を一つや二つに絞ります。

他店で経験があり、三つも四つもできると思い教えると、ミスが起こります。既存スタッフと信頼関係がない中でミスをおこすと、萎縮する可能性があり、それが原因で二回目は来なくなったということも多々あるのです。

 

指導の基本は「4段階職業指導法」

・してみせる(Show)
・説明する(Tell)
・やらせてみる(Do)
・評価する(Chek)

例えば、お客様を迎える「いらっしゃいませ」の挨拶を教えるとき、意味(沢山お店がある中で当店をお選びいただき有難う御座います。)、笑顔、発声音程イントネーション、お辞儀、タイミング、待機位置など、なぜするのかを教えることにより、全て、経営理念に沿っていることを理解させる。

評価とは、できていれば褒める。できていなければ、どこが出来ていないのかを指摘し再指導する。

 

初日勤務日は忙しい曜日それとも暇な曜日どちらに出勤してもらう方が良いか?

初出勤日はお店が暇な曜日が望ましいです。

お店が暇であればゆっくり丁寧に指導できます。また、スタッフとの仕事以外の会話、趣味とか学校の事とか、彼氏彼女の話など、仕事以外の会話からも人間関係が築かれていきます。

忙しい曜日に入れると、同じ作業を何回もするチャンスがあり仕事を早く覚えることは可能です。しかし、洗い場一つとってみても、既存のスタッフは洗い方や洗い終わった食器類の所定の位置など全て把握しており頭で考えて作業するということをしないはずです。新人の場合、立ち仕事に慣れていなければ、それだけでかなり疲労しています。

初日です。店側よりも相手のことを考えた方が良いと思います。

 

初日は誰が教えるか

初日は店舗責任者が直接指導するのが基本です。

無理な場合は、トレーナー(店舗責任者と同レベル)に依頼します。二回目からトレーナーに依頼するとき、その方にどのように指導してもらうかをトレーナーに伝えます。

・アルバイト自体初めてなので、次回は、本日の復習をしてから、できるようなら次のステップへ

・同じ業種で経験もあり、本日教えたことは、率先してやってもらってください。

 

他店で経験があるアルバイトの指導方法

全職が居酒屋で今回も居酒屋でのバイトであっても、お店が異なれば、仕事内容も大きく異なるはずです。

指導方法としては、今までに経験があってもなくても、このお店のやり方として、いちから教えることです。

そうすることにより、このお店のやり方として覚えることができます。

ですので、経験がある方には「まずは、このお店のやり方を覚えて下さいね」と一言言っておきましょう。

そうすることにより、指導中に「別のやり方があるんだけど」「私がやってきた、このやりかたでもいいですか」という質問がなくなります。

店側としても「カリキュラム」にそって限られた時間内で指導していきますので、そのような質問が多くなると指導速度が遅くなります。

 

「これは知っているよね」はNG

また、教えられる側には、知っていることもあると思うけど、その場合は、心の中で確認ということの理解をしてもらうよう最初に言っておきます。

これ知っている?ではなく、これおしえてもらった?と聞きましょう。

 

まとめ

飲食店は経営資源である、人・モノ・金を管理活用し最大限の売上の追求と利益を出し続けることにより、継続してお店を運営することが可能となります。

特に飲食店は、まだまだ人の手による仕事が多い業種でもあるのです。言い換えると、売れる商品を開発(モノ)したり、潤沢な資金力により一等地にお店(金)を構えても、それらを正しく使いこなすスタッフを育成(人)できなければ、長期の繁栄はありません。

「何事も始めが大事」と言う言葉があるように、新人アルバイトの導入教育は、戦力化するための第一歩だと認識して下さい。

 

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