計数管理

飲食店 労働生産性を高めれば給料や時給をアップできる

Asuka Food Consulting

はじめまして。Asuka Food Consultingでは、長年の飲食事業経験で得た、知識や経験を基に飲食事業者様をサポートしております。 ※サポートのご依頼は、「サポート依頼ページ」をご覧ください。

労働生産性とは、一人当たりいくらの粗利益を稼いだかの指標です。これは、管理可能利益の中でも非常に重要な数値であり、従業員の幸福の原資でもあります。

労働生産性から、支払い可能給料や時給が計算でき、労働生産性を高めることにより、給料や時給を高めることができるのです。

 

労働生産性とは

労働生産性とは、従業員一人が稼ぐ粗利益のことです。

従業員が稼ぐ粗利益ですので高い方が良いわけです。

 

労働生産性の計算方法は

労働生産性を求める計算式は

粗利益 ÷ 換算人員 = 労働生産性

となります。

通常は月間の労働生産性を求めます。

 

粗利益の計算方法

売上高 - 原価 = 粗利益(売上総利益)

※粗利益のことを会計用語では、売上総利益といいます。

原価は実際原価計算で算出した、実際原価の数字を使用します。棚卸しをしていない場合は、理論原価または、仕入原価を使用しましょう。

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換算人員の計算方法

ここで言う換算人員とは、社員換算人員のことです。

 

飲食店の場合、従業員は社員とPA(パート・アルバイト)に分かれます。

社員は一日8時間と決まった時間勤務しますが、PAは人によって働く時間が異なります。

 

例えば、社員 8時間/日 PA 16時間/日なら

総労働時間は 8時間+16時間=24時間/日

となります。

 

これを社員に換算すると

24時間÷8時間=3人

これが社員換算した人数です。

 

労働生産性は通常、月間で算出します。

 

仮に、月間の数字が

売上高 300万円 原価 90万円 総労働時間 720時間 なら

300万円-90万円=210万円(粗利益)

720時間÷200時間=3.6人(換算人員)

210万円÷3.6人≒58万円 となり

この 58万円が労働生産性

すなわち 従業員一人が一か月稼ぐ粗利益となります。

 

200時間とは、社員の一か月の労働時間です。社員の一か月の労働時間が 180時間なら粗利益を180時間で、210時間なら粗利益を210時間で割ります。

政府統計等を見ると、社員 200時間 PA 150時間で計算されている場合もあります。その場合は、注意事項となどとして別途記載されていることもあります。

 

労働生産性の適正な数値は

飲食店の労働生産性の適正値は 70万円/月 以上です。

労働生産性にか関わらず、飲食店の計数である指標には、全て適正値が存在します。例えば、人時売上高は、5000円以上 人時生産性は、4000円以上 労働分配率は 40%前後など、適正値あるいは目標値を知り、それをクリアしているかどうか。下回っている、あるいは、分配率が上回っている場合は、適正値にするにはどのようにすればよいのかを理解した上で、適正値にするための正しい行動を起こさないといけません。

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労働生産性は給料や時給を高める原資

 

労働生産性に労働分配率を掛けることにより、1人当たりの支払い可能給料額が計算できます。

労働生産性 × 労働分配率 = 一人当たりの支払い可能給料

 

仮に、労働生産性が 60万円 労働分配率が 40% なら

60万円 × 40% = 24万円(支払い可能給料)

 

飲食店の労働生産性目標を60万円とすると、支払い可能給料は、24万円と非常に少ない金額になります。労働生産性目標が70万円なら、28万円です。これを達成するには、粗利高を稼げる商品の販売が必要なのです。

一般的に飲食店は、販売価格が高い商品ほど粗利額を稼ぐことができます。単にハンバークステーキ 〇〇円ではなく、ハンバーグに使用しているお肉の部位、ハンバーグをお店で仕込み商品になるまでのストーリーをメニューに記載、ソースも自家製でお客様のテーブルでのソースをかける演出などにより、原価が同じでもそれらの付加価値分を販売価格にのせることが可能です。

 

また、人時生産性に労働分配率を掛けることにより、一人当たりの支払い可能時給が計算できます。

人時生産性 × 労働分配率 = 一人当たりの支払い可能時給

 

仮に、人時生産性が 3000円 労働分配率が 40% なら

3000円 × 40% = 1200円(支払い可能時給)

 

人時生産性とは、粗利益を総労働時間で割った数字で、従業員一人が一時間に稼ぐ粗利益を表します。

粗利益 ÷ 総労働時間 = 人時生産性

目標値は、4000円以上です。

 

例えば、売上高 10万円/日 原価 3万円/日 労働時間 24時間/日 の場合、

10万円 - 3万円 = 7万円(粗利益)

7万円 ÷ 24時間 ≒ 3000円 となり

この 3000円とは、従業員一人が一時間に稼ぐ粗利益(人時生産性)となります。

 

また、人時生産性に労働分配率を掛けても、支払い可能時給が計算できます。

人時生産性 × 労働分配率 = 支払い可能時給

3000円 × 40% = 1200円(支払い可能時給)

 

人時売上高と人時生産性の違い

人時売上高は、売上高を総労働時間で割った数字。一人が一時間に稼ぐ売上高のことです。

人時生産性は、粗利益を労働時間で割った数字。一人が一時間に稼ぐ粗利益のことです。

 

上記の計算から、「支払い可能給料」と「支払い可能時給」を高めるには、

労働生産性を高める必要があるのです。

 

労働生産性を高める方法

 

上記の計算式より、労働分配率を上げることによって、一人当たりの支払い可能給料額はアップしますが、利益は減少するので、無理をして給料を支払っていることとなります。

無理をして給料を支払っていれば、お店の長期の存続は困難になります。

 

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労働生産性の計算式は

(売上高-原価)÷ ((社員の労働時間+PA労働時間)÷ 200時間)= 労働生産性

上記のように分解できます。

 

従って

・売上高を上げる

・原価を下げる

・PA労働時間を削減する

上記を実施することにより労働生産性はアップします。

 

全ての計数は、数字を出すことが目的ではありません。管理することが目的です。管理とは、目標値(あるべき姿)から現状を引くことにより、問題が発見できます。その問題を改善して、あるべき姿にすることが管理するということなのです。

あるべき姿 - 現状 = 問題

計数には全て「あるべき姿」である目標数字があります。その目標数字からお店の現状の数値を引くことにより、問題が数値として算出されます。その問題として算出した数値を改善することが目的なのです。

そのためには、数値を行動に置き換える能力が必要なのです。

 

本文中の計算式まとめ

粗利益 ÷ 換算人員 = 労働生産性

人件費 ÷ 粗利益 × 100% = 労働分配率

労働生産性 × 労働分配率 = 一人当たりの支払い可能給料

粗利益 ÷ 総労働時間 = 人時生産性

人時生産性 × 労働分配率 = 一人当たりの支払い可能時給




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