原価管理

飲食店 理論原価を使って原価を下げる方法

Asuka Food Consulting

はじめまして。Asuka Food Consultingでは、長年の飲食事業経験で得た、知識や経験を基に飲食事業者様をサポートしております。 ※サポートのご依頼は、「サポート依頼ページ」をご覧ください。

飲食店で原価を管理するには、「理論原価」「仕入原価」「実際原価」の、三つの原価について知っておく必要があります。

三つの原価はそれぞれが単独ではなく関係性があります。

ここでは基礎として「理論原価」についての知識と、応用として「理論原価」を使用した原価の低減方法を説明します。

このページでは、先で学んだ「理論原価」を使用して、原価を下げる方法を解説します。

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理論原価を使用し原価コントロールするメリット

➀ トータルとしての原価(率)を下げることができる。

例えば、ある商品の原価(率)だけを5%下げたとしても、全体としての原価(率)も5%下がりませんよね。

理論原価の相乗積を活用することにより、ある商品の原価(率)を下げた時、全体としての原価(率)がいくらになるのかを予測できます。

また反対に、原価を上げた場合のトータル原価率がいくらになるのかを予測することも可能になります。

■原価を上げる時とはどんなとき?

・原価の高い集客商品の導入
・価格は据え置きで増量
・既存商品の値下げ
・一品サービス

などの、お店の戦略として原価を上げる時と、原材料の高騰により価格転嫁できない場合のやむを得ない時などがあります。

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➁ メニュー変更後の原価(率)の予測

新メニューの導入、セットメニューの販売、販売価格の変更や売れない商品の終売によるメニュー変更後の原価(率)予測をすることも可能です。

また、新店を出店する地域によっても理論原価による原価予測は重要です。

カフェを例にあげると、ビジネス立地ではドリンク比率が高く、郊外立地ではフードの比率が高くなります。

戦略としては、ビジネス立地では、ドリンク商品の比重を高くし、単価の低さを回転率で補う。反対に、郊外立地では、フード・デザートの比率をアップし、回転率の低さを単価で補う戦略です。

それを達成するためには、理論原価からメニューブック戦略に反映する必要があるのです。

 

➂ ロス分の把握

実際原価から理論原価を引くことにより、ロス分を把握することができる。

>飲食店 6つの食材ロスの原因と対策

 

チェーン店と比べて、個人店では、新メニューの導入やメニュー販促などは、店舗責任者の裁量で可能です。

新商品を考案し、商品原価も出さずに値付けだけして販売するのは、マネジメントとは言えません。

マネジメントとは、(数値)目標を設定し計画を立てて実行する。その結果、目標(基準)と比べてどうなのかを検証し、次の一手を考え行動することです。

 

是非、原価コントロールを身につけてお店をマネジメントしましょう。

また、チェーンを運営する本部においても、マーケティング部門担当者は、FC店に変更後の自店の予測として説明し、お互いが納得した形で運営していくのが望ましいと考えます。

 

 

理論原価の管理方法

それでは、実際の店舗において、どのように管理すればよいのか説明します。

 

管理(マネジメント)するためには、まずは、必要なデータを集計する必要があります。次に集計したデータを加工します。

➀ 自動集計可能なレジ(POS)による「自動管理」(お薦め)

➁ 手作業とパソコンによる「手動管理」

 

メリットとデメリット

➀ POSによる自動管理のメリットは、集計をレジシステムが自動でしてくれる点です。原価はもとより、客数・組数・客単価・ABC分析・時間帯別動向・売上高等。デメリットとしては、導入コストが高い点です。

➁ 手動管理のメリットは、導入コストがかからないこと。デメリットは、➀のメリットの内容をすべて手作業で行う必要があることです。

最近、普及しだしたPadによるレジシステム。導入コストも低く、中小個人店において導入されているお店も増えてきました。

購入を検討されているお店やチェーン本部も多々御座いますが、上記のような自動集計項目が、販売している端末によって異なるため、必要なデータが集計できるかどうかを見極めて購入された方が良いかと思います。

手作業とパソコンによる管理

レジによる管理が不可能な場合 、伝票を集計しエクセル等で管理表を作成することになります。

手順としては、

各時間帯ごとにまとめた、お会計済みの伝票から「個々の商品名」「個々の商品の販売数量」を抜き出します。その後、エクセル等で作成した「理論原価管理表」に入力します。

一見簡単そうですが、来店数が多く、商品数も多い場合、かなりの時間を必要とします。

集計は毎時間ごと。毎時間ごとに集計するのは、時間帯によっては売れる商品が異なる為、メニュー入れ替え時などに参考とするからです。また、営業終了後に一括して作業する場合も、量によってはかなりの時間を必要とし現場の負担となります。

 

理論原価管理表の作成方法

下記はエクセルで作成した理論原価管理表の例です。

 

➀商品名

➁数量・・・・・商品の売れた数

➂販売価格・・・商品の販売単価

➃売上高・・・・数量×販売価格

➄売上構成比・・各商品の売上高 ÷ 全商品の売上高合計 × 100%

➅累計・・・・・売上高構成比累計

➆原価・・・・・個別標準原価

⑧原価率・・・・個別標準原価率

⑨原価合計・・・数量×原価

⑩相乗積・・・・売上構成比×原価率

 

この表を作成するにあたって特に必要な数字(数値)は、

「数量」である商品の売れた数(出数)と、各商品の原価である「個別標準原価」です。

数量はPOSレジの場合、レジから抜き出します。POSレジを使用していない場合、伝票から抜き出す必要があります。

個別標準原価については、下記の「個別商品原価の算出方法」を参考にして下さい。

>飲食店 歩留まりと個別商品原価

 

理論原価を使用した原価低減方法

上記の表の右端に「相乗積」の欄があります。

相乗積は、「売上構成比 × 原価率」で求められます。

B商品の相乗積は、17.2%(売上構成比)×43.7%(原価率)=7.51%(相乗積)

商品ごとに計算された、相乗積を加算すると、理論原価が計算されます。

表から、このお店の理論原価は、34.5% です。

 

理論原価については、下記を参照ください。

>飲食店 理論原価の基礎知識

この相乗積を利用した、理論原価の低減方法を説明します。

 

このお店の、目標値、現状、差額は

目標値 33.0%、現状 34.5%、差額 1.5% となっています。

これは、目標値に対して、理論原価が1.5%オーバーしているということです。

※理論原価とは、レシピ上の原価のこと。

 

ここでは、B商品の原価率を下げて目標値33.0%にする方法を考えてみます。

 

B商品の売上構成比はそのままで、B商品の原価率のみを下げることによって、目標値の33.0%とするには、

 

① 34.5%(現状の理論原価) - 33.0%(目標の理論原価) = 1.5%(差額)

② 7.51%(現状のB商品相乗積) - 1.5%(差額) = 6.01%

※B商品の相乗積を、6.01% にすれば目標値となる。

③ 17.2%(B商品の売上構成比) × 求めるB商品の原価率 = 6.01%

※売上構成比 × 原価率 = 相乗積

したがって、B商品の原価率は、34.9%

 

B商品の原価率を34.9%にすることができれば、理論原価率は目標値と同じになります。

 

B商品の原価率を原価額に直すとB商品の原価額は、870円 × 34.9% = 303.6円

現状の380円より、76円ほど下げる工夫が必要になります。

納品業者との仕入価格の交渉やレシピの見直しにより、味と品質を変えないで原価を下げる工夫を考えて見ましょう。

 

今回は、わかりやすいように一つの商品に絞って説明しました。実際には、一つの食材を他の商品にも使用している場合が多々あると思います。

例えば、ABCという三つの商品があり、お肉の同じ部位を使っており、仕入れ交渉でお肉の価格が下がれば、ABCの三つの商品の原価も下がります。

但し、お肉の価格が高騰すれば、三つの商品の原価も上がるということです。

 

まとめ

理論原価の管理と仕入原価の管理は、日々の管理項目です。

もし、月の前半にでも仕入原価率が理論原価率を上回っていれば、仕入をコントロールすることにより、理論原価率に近づけます。

理論原価率自体が高い場合、上記のように個々のメニューを見直すことも検討しましょう。

また、原価管理がしっかり実施されているお店は、理論、仕入、実際という三つの原価率が ほぼ同じ数値になります。

三つの原価はそれぞれが独立しているものではなく関係性がある為、引き続き、仕入原価と実際原価を学びましょう。

① 理論原価 ② 仕入原価 ③ 実際原価

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飲食店 原価の基礎知識 仕入原価

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