本内容は、「飲食店 原価の基礎知識 仕入原価」を基に、応用として、仕入原価の管理方法を説明した内容となっております。
仕入れた食材の金額である仕入原価を利用すれば、日々の仕入を増減させることにより、月末までに目標に近づけることが可能です。
それでは、仕入原価をコントロールする方法を学んで行きましょう。
Table of Contents
仕入原価は業者別に管理する
仕入原価は業者別に管理するのが原則です。
その理由は、目標値よりも仕入原価率が高ければ、どこの業者の仕入が多かったのかが分かり、原因特定から改善することも可能になるからです。
納品書は税抜金額と消費税が別に記入された納品書を業者に依頼しましょう。
仕入管理表には税抜金額を記入し、税抜売上げ高との比較で仕入原価率を算出します。
業者によっては、食材と消耗品などが同じ伝票に記載されている場合があります。別々に記載してもらうか、仕入額を計算するときに食材だけを算出するようにしてください。
仕入を配送ではなく、スーパーなどへの買い出しを行っているお店は、業者別ではなく、食材別に管理します。
例) 肉 魚 野菜 など
肉でも、鶏肉・牛肉・豚肉を扱っており、扱う頻度が多い食材は、重点管理食材として適正量を仕入れるようにし、仕入価格の変動にも注意することが大切です。
また、使う頻度が少ないにも関わらず、ロット単位で仕入れなければならない食材なども、重点管理の対象としましょう。
業者別仕入管理表の作り方
下記は、エクセルで作成した業者別仕入管理表です。
パソコンが使えなければ、ノートに線を引き、電卓で計算しましょう。
上記を参考に、仕入原価表の作成方法を説明します。
仕入管理表の各項目の説明
目標値・・・前年同月の数値
F値・・・・各業者ごとの現状の売上に対する仕入原価率
GAP・・・・目標値 ― F値
金額・・・・GAPの数値を金額で表示
※F値(エフチ)とは、FoodCostの値 原価率の事
1) 表の見方
A業者を例に説明します。
目標値 20%(C37)・・・前年同月の業者ごとの仕入原価率
F値 19.3%(C38)・・A業者の累計仕入原価÷累計税抜売上高
GAP -0.7%(C39) 目標値-F値
金額 -2,593(C40)・・GAPの-0.7%を金額に直した数字
A業者の「-2,593」とは、A業者の仕入目標値「20%」に対して、現在の仕入値「19.3%」との差額を金額に直した数字です。目標より下回っているということです。
逆にB業者の場合、「3,704」円、目標値よりも多く仕入れているということです。
ポイントは、差額を金額で表すことです。差額分を金額で表示することにより、食材を仕入または購入するときの目安となり、仕入原価を調整することが可能になります。
2) 当月仕入目標の決定方法(表L37)
■ 前年と商品構成が同じ場合
本年が2024年8月なら、前年2023年8月の仕入原価率を目標値とする
➀前年同月の各業者ごとの仕入合計額を算出
➁それを前年同月売上で割り、 各業者ごとの前年同月の仕入原価率を算出
※A業者の目標値20%(C37)とは、前年同月のA業者の月間仕入額60万円を、月間売上高300万円で割った数値
■ 前年と商品構成や販売価格が異なる場合
商品の入れ替えや、新たにコース料理や食べ飲み放題などの追加、また、セールなどを行うときは、事前に商品販売計画表を作成し、原価及び原価率の着地がいくらになるのか予測しておきます。
それを基に当月仕入目標を決定することになります。
また、前年がないお店は、前月の数字を参考にしましょう。
サポート会員様には「仕入原価管理表」の作成もサポートしております。
仕入原価管理のメリットとデメリット
メリットは、
食材の納品書やレシートの金額を売上高で割ることにより、簡単に仕入原価率が算出できることです。
目標値を設定していれば、現在の仕入原価率との差額から、月中に仕入を売上に合わせて調整することが可能です。
デメリットは、
仕入れた食材が仕入れた月に販売できないと在庫となり、仕入れた月の仕入原価率はアップします。
在庫となった食材が、翌月に販売されれば、その月の仕入原価率は下がります。
一回の発注ロット数が多い、仕入単価の高いアルコールなどを主に扱っているお店であれば、仕入原価率と実際に掛かった原価率との差額が大きくなり、お店の平均的な原価が把握しにくくなる欠点があります。
また、使用期限が切れてしまったり、管理不足による腐敗など、売上に貢献できない食材があれば、仕入原価には含まれるが、売れていないため、仕入原価率はアップします。
まとめ
仕入原価は、業者別または、食材別に管理する
仕入原価は、初心者にも簡単に原価を計算できる
メリットは、目標と照らし合わせることにより、コントロール(調整)することが可能
デメリットは、その月に仕入れた食材をその月に販売できなかったとき在庫となるため、正確性は劣る
原価の基礎知識として仕入原価の基礎と管理の仕方としての応用を説明させていただきました。原価をコントロールするためには、まず、日々の売上高、仕入原価、仕入原価率を把握することから始めてみましょう。
毎日営業終了後にノートまたはパソコンに入力することを習慣化することから始まります。
もし、今まで実行してこなかったなら、「今、この瞬間」からぜひ実行してください。
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