飲食店の原価には「理論原価」「仕入原価」「実際原価」の三つの主な原価があります。
ここでは、これらの原価を学ぶ前に、原価の基礎の基礎として
「原価とはなにか」を理解しましょう。
writer:Asuka Food Consulting
Table of Contents
原価(げんか)とは何か
一般的に飲食店で原価という場合は、「食材費」のことを言います。
例えば、
ハンバーグ定食を1000円で販売していたとします。
使用している食材が、
ハンバーグ、ソース、サラダ、スープ、ライスで、食材費の合計が300円なら、
ハンバーグ定食の原価(食材費)は300円ということです。
また、
ハンバーグ定食という一つの商品を作るのに掛かる食材費の合計を、
「個別標準原価」といいます。
ハンバーグ定食の原価(個別標準原価)は300円
個別標準原価は、調理作成手順書である調理マニュアルに記載されます。
Point
■ 一つの商品を作るのに掛かる食材費の合計を「個別標準原価」という
原価の広義
原価を「原価やサービスを顧客に提供するまでにかかる費用」と定義されています。
飲食店によっては、調理や提供するための人件費、光熱費なども含めて原価としているお店もあります。
飲食店における人件費や光熱費は、売上に占める割合が高く、店舗管理可能費用である変動費です。
したがって、個別に算出するほうが店舗管理しやすいため、一般的に飲食店の原価は、食材費に限定しているお店が多いのです。
原価率(げんかりつ)とは何か
原価を販売価格で割った数値を「原価率」といいます。
式で表すと
この原価率の計算式は、別ページで説明する「理論原価率」「仕入原価率」「実際原価率」全てに必要な計算式ですので、必ず覚えておきましょう。
上記の、
ハンバーグ定食の原価300円
ハンバーグ定食の販売価格1000円
そうすると、ハンバーグ定食の原価率は、
(原価)300円 ÷(販売価格)1000円×100%=30.0%
ハンバーグ定食の原価率は30.0%(小数点第二位を四捨五入)
ということです。
言い換えると、
販売価格1000円のうち、30%(300円)は原価(食材費)ですよ、と言う意味です。
上記の原価と原価率は、ハンバーグ定食という個別の商品の原価と原価率です。
この場合、
ハンバーグ定食の原価300円を「個別標準原価」、原価率の30.0%を「個別標準原価率」と言います。
point
■ 「原価率」とは、原価を販売価格で割った数値(単位は%)のこと
■ 「個別標準原価率」とは、一つの商品を作るのに掛かる食材費の合計を、販売価格で割った数値のこと
※言い換えると、販売価格に占める、食材費の割合のこと
個別標準原価の計算方法
ここまでの説明で、商品の原価と原価率をだすためには、
個別標準原価を計算しなければならないことがお分かりいただけたと思います。
個別標準原価の詳しい算出方法は
歩留まりと個別商品原価のページを参照ください。
個別標準原価の算出は、商品原価を計算する基本となります。
次に、三つの原価について簡単に説明します。
詳しくは各ページをご覧ください。
理論原価と理論原価率
理論原価とはレシピ上の原価の事です。
ハンバーグ定食の原価(個別標準原価)は300円でした。
ハンバーグ定食が10個売れると、
300円×10個=3,000円
従って、ハンバーグ定食が10個売れた時の原価は理論上3,000円かかるということです。
なぜ理論上かというと、調理は人の手で行いますので、失敗することもあります。
失敗すれば作り直さないといけなくなり、その分余計に原価が増えることになりますよね。
理論原価の基となる個別標準原価にはこの失敗分の食材(原価)は入っていないからです。
理論原価率とは、原価を売上高で割った数値のことです。
ハンバーグ定食の販売価格は1,000円ですので、
1,000×10個=10,000円(ハンバーグ定食の合計売上高)
3,000(ハンバーグ定食の合計原価)÷10,000円×100%=30.0%
ハンバーグ定食の理論原価率は、30.0%となります。
理論原価の詳しい説明はこちら
>理論原価の基礎知識
仕入原価と仕入原価率
原価管理がまったく初心者の方は、仕入原価から学びましょう。
仕入原価とは、仕入れた食材(ドリンク含む)の合計金額のこと。
仕入原価率とは、仕入れた食材の合計金額を売上高で割った数値のこと。
例えば、一ヶ月間の仕入れた食材の合計金額が90万円で、売上高が300万円のお店の場合、
仕入原価は、90万円です。
仕入原価率は、90万円÷300万円×100%=30.0%となります。
仕入原価の詳しい説明はこちら
>仕入原価の基礎知識
実際原価と実際原価率
実際原価とは、ロスも含めて実際に掛かった原価のこと。
実際原価率とは、実際原価を売上高で割った数値のこと。
理論原価は、ロス分が含まれていません。レシピ通りに作った時の原価でしたね。
仕入原価は、当月に仕入れたが、使わずに翌月に使うということもあります。
実際原価は、ロスも含めて実際に使用した分のみ計算します。
実際原価の詳しい説明はこちら
>実際原価の基礎知識
まとめ
原価とは何か、原価と原価率の違いは何か、お分かりいただけましたか?
上記の三つの原価には、それぞれ長所と短所があります。
三つの原価を学べば、それぞれの長所と短所を補うことができるのです。
各原価についての詳しいページでは、基礎として知識を身につけ、応用としてお店で使うことを想定して説明しています。
原価には大きく分けて
① 理論原価 ② 仕入原価 ③ 実際原価
の三つがあります。
三つの原価を理解することによって、原価をコントロールすることが可能になります。
大手の飲食店の社員は、社内研修で学びます。
中小個人店の方も「原価管理」の知識を身につけて、是非、お店の運営に役立てて下さい。
原価管理がまったく初心者の方は、仕入原価管理から始めてみましょう
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下記の内容を上から順にお読みいただくと、飲食店の原価について理解し、店舗で活用することができるようになっております。