「総額表示義務の特例」期間が、令和3年3月31日に終了します。それに伴い、飲食店においても、メニューブック等の価格表示を総額表示しなければならなくなります。
また、メニューブック以外に商品価格を明示してあるものとして、食べログ等の飲食情報サイトや、自社ホームページ、チラシ、POPなども商品価格表示を変更することが必要になってきます。
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総額表示とは
「総額表示」とは、消費者に商品の販売やサービスの提供を行う課税事業者が、値札やチラシなどにおいて、あらかじめその取引価格を表示する際に、消費税額(地方消費税額を含みます。)を含めた価格を表示することをいいます。
国税庁 総額表示の義務付け 総額表示の意義 からの引用
総額表示の具体例1
例えば、次に掲げるような表示が「総額表示」に該当します(例示の取引は標準税率10%が適用されるものとして記載しています。)。
- 11,000円
- 11,000円(税込)
- 11,000円(税抜価格10,000円)
- 11,000円(うち消費税額等1,000円)
- 11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)
国税庁 総額表示の義務付け 具体的な表示例 からの引用
総額表示の具体例2
こちらは、「消費税の円滑かつ適正な転嫁のために(10%引き上げ対応版)」より
上記の、総額表示具体例1と2の違いは、
税込金額を先に表示するか、
例) 11,000円(税抜価格10,000円)
税抜金額を先に表示してから税込金額を表示するか、
例) 10,000円(税込価格11,000円)
という点です。
現在の飲食店のメニューブックの価格表示はどうなっている?
現在の飲食店のメニューブックへの価格表示は、
税抜金額を表示し、「当店の価格は全て税抜表示となっています。」等の文言を入れている場合が多く見られます。
これは、商品価格を「1100円」「1100円(税込)」と表記するより、「1000円」と表記する方が安く見えるからです。
しかし、総額表示の特例期間の終了に伴い、上記の総額表示の具体例1 または、2のいづれかの表記をしなければなりません。
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結局、飲食店のメニューブック表記は、どの総額表示が良いか?
総額表示の具体例2の➁の表記である、
9800円(税込10780円)
の表記が良いのではと考えます。
※上記は、横並びの表示ですが、
9800円
(税込10780円)
のように表示してももちろんOKです。
飲食店経営者・店長の意見
実際にコンサルティングさせていただいている、飲食店経営者や店長からの聞き取りでは、総額表示具体例2の表記である、税抜金額を先に表示する方法が多数でした。
理由としては、
現在、税抜で表示しているお店において、税込み表示を先頭に持ってきた場合、お客様からすると、「値上げ」したと受け取られる可能性があるからです。
特に、ABC分析による、Aランク商品は良く出る商品ですので、良く出る商品ほど、お客様は商品価格を覚えています。また、切りの良い価格であった場合ほど、値上げしたと受け取られかねません。
例えば、
ハンバーグ定食 990円 と現在表記しており、
メニューブックの下方に、「当店の価格は全て税抜表示となっております。」と文言を入れている場合、その文言を削除し、
ハンバーグ定食 1089円 や、
ハンバーグ定食 1089円(税込)
と表記することになります。
また、
ハンバーグ定食 1089円(税抜価格990円、消費税額等99円)
等の表記は、顧客から見ると親切かもしれません。
しかし、価格表示が長すぎると、
メニューブックの大きさが、A4サイズで、居酒屋などメニュー数が多岐に渡り、かつ商品画像を複数使用している場合など、他の商品と重ならない工夫などが必要になってきます。
また、場合によっては、メニューブック構成をいちからやり直さなくてはならなくなるかもしれません。
メニューブック構成を変更すると、各商品の出数が変化する
ここで言うメニューブック構成の変更とは、総額表示により価格の文字数が増えるため、
商品画像を小さくしたり、商品画像を省いたりすると、その商品の出数が減少する場合があるということです。
また、メニューブック内の商品の位置の変更や、商品説明の変更、追加等によっても、商品の出数が増減することが多々あります。
メニューブックの作り直しを業者に依頼するときは、
業者任せにしないよう、お店側の意向を細かく伝えて、対応してくれる業者に依頼しましょう。
メニューブックを作成するときには、下記の内容を最低限注意して作りましょう。
文字 ・・・ 大きさ/フォント/色
商品画像 ・・・ メニューブック内の位置/サイズ/画像の綺麗さ/画像内の商品角度
背景 ・・・ 背景の色/模様
フォント選びは大切です。一つのメニューブックに多くのフォントを多用しないようにすることが、見やすさにも影響します。
商品画像をプロではなく、自前で撮る場合は、特に商品の角度に注意しましょう。
商品自体を切り抜いてメニューブックに載せることができない場合、商品の背景(テーブルなど)も映り込むことになります。
背景であるテーブルなどが汚れている、背景がバラバラなどにならないよう注意すると見栄えも良くなります。
事前に「飲食店メニュー画像」などで検索し参考にするとよいと思います。
価格表示方法の変更を顧客に伝える
お客様の中には、なぜ価格の表示を変更したのかが分からない方も多くおられると思います。
そのようなお客様の為に、
「総額表示特例期間の終了により、価格の表示方法を変更致しました。」
「総額表示特例期間の終了により、価格表示を変更。商品価格は価格表示変更前と同じです。」
等の文言をメニューブックに記載するのも良いと思います。
メニューブックの価格変更に伴い、商品価格の見直しも、この際、行いたいと考えているお店もあると思います。
一部商品の値上げを顧客に正直に伝えたお店
コンサルティングさせていただいているお店の中に、オーナー様の希望で、メニューブックのリニューアルに伴い、原材料価格の上昇により、商品価格を上げたもの、商品価格を下げたものの一覧を作成し、各テーブルに設置しているお店もあります。
飲食店ではほとんどのお店において、商品価格を下げたときは、お客様にお伝えしても、商品価格を上げた時に伝えるということはしないはずです。
その結果、特に常連のお客様からは「親切なお店」「正直なお店」と言われたとオーナー様からご報告がありました。
変更後、数か月経ち、コロナ禍ではありますが、客数、売上とも微増ながらも増加しています。
メニューブック以外の変更も忘れずに。
レジシステムの価格設定変更。※価格変更なければ必要なし。
飲食情報サイトである、食べログやぐるなび等の商品価格表示の変更。
自社ホームページやFacebook等の商品価格表示の変更。
商品パンプレットやPOP等の商品価格表示の変更。
など、メニューブック以外に商品価格が明示されているもの全て変更が必要になります。
いづれにしても、「総額表示義務の特例」期間が、令和3年3月31日に終了しますので、それに合わせた対応が必要です。
参考サイト
財務省 「9,800円(税込10,780円)」という表示でも総額表示を行っていることになるでしょうか。
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