Microsoft Excel(エクセル)をつかって、
シンプルな棚卸管理表をつくってみましょう。
エクセルに慣れていない方もつくれるように解説しています。
Writer:Asuka-Food-Consulting
Table of Contents
シンプル棚卸管理表
飲食店に特化した「シンプルで使いやすい棚卸管理表」を
Microsoft Excel(エクセル)で作成する方法を解説します。
エクセル初心者の方もつくれるよう
<エクセル初心者 補足>として解説しています。
棚卸管理表の特徴
- 在庫数を入力すると在庫金額が表示される
- 食材の種類が多くても少なくても大丈夫
- 棚卸管理表(原本)をコピーすれば毎月使える
- A4用紙にプリントアウト可能
- padやノートPCを使用し、棚卸ししながら入力
- 食材以外の棚卸しにも使える
この棚卸管理表(原本)をコピーして使えば、ずっと使い続けることができます。
棚卸管理表の構成
ここでつくる棚卸管理表は、
- 在庫数を入力する「棚卸表」
- 入力した金額を集計する「棚卸管理表」
の2つに分かれています。
「棚卸表」に在庫数量を記入すれば、
集計結果が「棚卸管理表」に反映されます。
効率よく作成するために
エクセルに慣れている方は、
各項目の太字を読んで進めるとスムーズに作成できると思います。
エクセルに慣れていない方は、
<エクセル初心者 補足> を参考にしてくださいね。
準備
モニターの右に本Webページ、左にエクセルを映しておくと作業しやすいです。
<エクセル初心者 補足>
画面にエクセルシートとWebページを2枚並べる方法
① このWebページを閉じないで、エクセルを起動させる
② エクセルの上部にマウスカーソルをあわせ、左クリックを押しながら、少し下にマウスを動かすと、エクセルシートが下にずれる。
③ そのまま、モニターの左はしの中央にもっていくと、モニターの左半分にエクセルが表示される
④ 次に、右の本Webページをクリックすると左にエクセル、右にWebページが表示されます。
この方法でなくても、自分がやりやすいように作業してくださいね。
1 棚卸表をつくる
まず、棚卸表からつくっていきます。
エクセルに慣れている方は、完成図を参考に棚卸表をつくってみましょう。
・表の範囲 A6からE39
・B列の幅 40
・他の幅はエクセルの規定値のまま
この設定であれば、A4の規定値でプリントアウトできます。
棚卸表の完成図
<エクセル初心者 補足>
罫線のひき方
① マウスのカーソルをエクセルのA6にもっていき、マウスを左クリック
② キーボードのshiftキーを押しながら、E39のセルをマウスで左クリック
③ リボンタブにある罫線入力の「∨」を選択して、格子(A)をクリック(下図)
下図のように罫線がひけていればOKです。
罫線をひく作業は、このあともでてきますので、マスターしておきましょう。
<エクセル初心者 補足>
次は、表の右上に合計金額を表示するセルをつくります。
①マウスのカーソルをC2のセルにもっていき、マウスの左クリックを押しながら、E2までドラッグする(下図)
②その状態でホームタブにある「セルを結合して中央揃え」を押す
※エクセルのホームタブにある「セルを結合して中央揃え」と書かれた場所が見当たらない
原因はエクセルを左、本webページを右に表示することにより、エクセルの画面が半分になっているからです。
エクセルの右上にある四角のマークをクリックすると、エクセルシートが大きく表示され、ホームタブにある「セルを結合して中央揃え」という表示が現れます。
そうすると、C2 D2 E2の三つのセルが一つに結合される(下図)
先の方法で罫線の格子を選ぶと罫線がひかれる(下図)
次は、C3からE4のセルをひとつに結合する作業をします。
①C3にマウスのカーソルをあわせ、マウスを左クリック
②キーボードのshiftキーを押しながら、E4をマウスで左クリック(下図)
③ホームタブにある「セルを結合して中央揃え」を押す
④ホームタブにある罫線から格子を選ぶ
⑤上の空白に「合計金額」と入力する
<エクセル初心者 補足>
次は、各項目名の入力と、セルの幅を広げる作業をします。
エクセルの6行に、下図のように項目名を入力してください。
商品名と書かれたセルの幅を40に設定するには、
①エクセルのBとCと表示されている間に、マウスのカーソルをもっていくと、下図のようなマークがでます。
②そのマークがでたら、マウスを右クリックして、列の幅を選択し、40と入力してOKを選択
そうすると、B列の幅が40に設定されます。
棚卸表 金額の計算式の設定
計算式をコピーして所定の位置に貼り付けましょう。
E7に、
=C7*D7
上記の計算式をイコールからすべてコピーして貼り付ける
次に、E7に貼り付けた計算式をコピーして、E8からE39に貼り付ける
C3に、
=SUM(E7:E39)
の計算式をコピーして貼り付ける
<エクセル初心者 補足>
まず、下図の赤枠部分の計算式を入力します。
下の計算式をコピーしてエクセルのE7に貼り付けます。
=C7*D7
コピーの方法は、
マウスのカーソルを=(イコール)の左にもっていき、マウスの左クリックを押しながら、計算式をすべて選択します。(下図)
その状態で、マウスを右クリックして、コピーを選択
エクセルのE7のセルにカーソルを合わせ、マウスを右クリックし貼り付けを選択
計算式がうまく貼り付けられたかどうかは、
E7のセルをクリックしたときに、数式があっているかどうかで確かめる。(下図)
このコピー&貼り付けは、このあともでてきますので、マスターしておきましょう。
次は、E7に貼り付けた計算式を、
E8からE39にコピーします。
E7のセルの右下に、マウスのカーソルを合わせると十字のマークがでます。
十字のマークが出た状態で、マウスの左クリックを押しながら、E39まで垂直にドラッグします。
そうすると、E7の計算式が、E8からE39にコピーされます。
コピー&ドラッグで貼り付ける方法は、この後も使いますのでマスターしておきましょう。
次は、下図の赤枠部分、合計金額の計算式を入力します。
上記の要領で、下記の数式をコピーしてC3に貼り付けてください。
=SUM(E7:E39)
貼り付け終わったら、試しに、下図のように 数量と単価 に数字を入れて、
その合計が C3に表示されていればOKです。
棚卸表の複製方法
■棚卸表をコピーする
棚卸表のシートを10枚複製しましょう。
<エクセル初心者 補足>
■棚卸表の複製方法
今作った棚卸表の左下にある「シート名」を右クリックする
※通常は「Sheet1」に作っているはずですので、「Sheet1」の文字を右クリックする
その中から「移動またはコピー」を選び、「コピーを作成する」にチェックをいれ、「OK」をクリックする
そうすると、今作った棚卸表が1枚複製されたと思います。
この要領で棚卸表を合計10枚作成しましょう。
■シート名を変更する
次に、シート名を変更します。
※この作業は後でも大丈夫です。
上記と同じように、シート名を右クリックすると、「名前の変更」とありますので、クリックしてシート名を変更します。
ここでは、棚卸表1 棚卸表2・・・棚卸表10としています。
これで、棚卸表の作成は終了です。
2 棚卸管理表をつくる
棚卸管理表をつくっていきます。
今作った棚卸表とは別の「新しいシート」に、下図を参考にして所定のセルに、項目名を入力していきましょう。
次に、下図を参考に計算式を入力していきます。
<エクセル初心者 補足>
棚卸管理表は今作った棚卸表とは別の「新しいシート」につくっていきます。
今作った、エクセルシートの下に、下図のような十字のマークがあると思います。
それをクリックすると新しいシートが一枚増えます。
そのシートに棚卸管理表をつくります。
新しいシートに、下図を参考に各項目名を所定のセルに入力していきましょう。
例えば、実施日と入力するのは、A5のセルとなります。
項目名を入力できたら、計算式を入力していきます。
まずは、棚卸管理表の上の部分から解説します。
■棚卸額合計
この欄は、各棚卸表(棚卸表1~棚卸表10)の合計金額を合算した数字です。
B10には、
=SUM(B16:B25)
上記の計算式を =(イコール)からすべてコピーして、エクセルのB10に貼り付ける
計算式のコピー&貼り付けは先に説明した方法と同じです。
■当月末棚卸額
E11には、
=B10
をコピーして貼り付ける
※棚卸額合計と当月末棚卸額の数字は同じです。
■実際原価
E12には、
=E9+E10-E11
をコピーして貼り付ける
■実際原価率
E13には、
=IFERROR(E12/B9,"")
をコピーして貼り付ける
貼り付けた後、ホームタブにある「%」をクリック
実際原価とは、実際に使用した食材の原価のことです。
次は、棚卸管理表の下の部分を解説します。
B16からB25には、各棚卸表の合計金額が表示されるようにします。
①棚卸管理表の B16をマウスで左クリック
②shiftキーを押しながらキーボードの=を押す
③棚卸表1のシートを選択する
④棚卸表1のシートのC3のセルをマウスで左クリック
⑤キーボードのenterを押す
そうすると、棚卸管理表のB16のセルに0と表示され、上には、計算式が表示されていることを確認する
棚卸表2~10も同じ手順で入力する
■売上対比
C16には、
=IFERROR(B16/$B$9,"")
上記の式をコピーして貼り付ける
C17からC25へのコピーは、上記の式をコピーして貼り付ける
やり方は、先に説明した、コピー&ドラッグの方法です。
C16のセルの右下にカーソルを合わせて十字のマークが出たらC25までドラッグします。
棚卸管理表に数字が入力されている例
以上で、棚卸管理表の作成は終了です。
棚卸管理表の使い方
この棚卸管理は、
・各食材の数量を入力する「棚卸表」
・各管理表の合計金額を集計した「棚卸管理表」
にわかれています。
■棚卸前の準備
棚卸表には、
商品名(食材名)と仕入単価を入力しておきます。
一度入力しておくと、次回からは入力する必要はありません。
但し、仕入単価の変更や新しい食材などがあった場合は、棚卸し前にその箇所のみを修正追加しておきましょう。
棚卸管理表には、
- 実施日
- 売上高
- 先月末棚卸額
- 当月仕入額
を入力しておきます。
■棚卸実施
各管理表の食材の数量を入力していきます。
事前に商品名と(仕入)単価は入力していますので、棚卸実施時には、食材の数量のみを入力します。
そうすると上記のように計算されます。
■便利なフィルター機能
エクセルには「フィルター」という機能があります。
上記は、フィルター機能をつかって、金額の高い順に並び変えた図です。
設定は簡単で、管理表のB6からF39を選択して、
データタブにある「フィルター」をクリックすれば、
上記の図のように列の先頭に下▼マークがつきます。
試しに、金額の下▼マークをクリックして、降順を選択すると、
金額の高い順からの並びになります。
解除するときは、データタブの「フィルター」を再度クリックすれば、
フィルターが解除されます。
棚卸管理表の売上対比
棚卸しを実施し続けることにより、各在庫が売上に対して適正だったのかどうかを判断することができます。
基準は前年同月対比です。
棚卸管理表の活用事例
このような感じで活用されている店舗もございます。
ご自由に加工してお使いください。
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まとめ
棚卸しにより、お店の資産の把握、売上から原価をひくことにより粗利益を把握できる重要な作業です。
棚卸し管理表を作成し、このあと、各食材名と仕入単価の入力作業が完了すれば、エクセルをつかっての棚卸し作業は楽になります。
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