客単価を上げるということだけを聞くと、既存商品の価格をアップすると思われるかもしれませんが、客単価を上げるには、既存商品価格のアップだけではありません。
飲食店の売上を上げるには、
「客数を増やす方法」と
「客単価を上げる方法」があります。
ここでは、客単価について詳しく知り、客単価を上げることによって売上を上げる方法を説明します。
writer:Asuka Food Consulting
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客単価を分解する
売上高は、客数×客単価で表されます。
客単価は下記のように分解することが可能で、分解することにより、客単価を上げる方法を説明します。
客単価とは
一人のお客様が使う平均金額のこと。
式より、平均単価を上げる、平均購入数を増やすことで客単価がアップします。
平均単価とは
一品当たりの平均金額のこと。
平均購入数とは
一人当たり、商品を平均で何品購入しているかということ。
※店側からすると販売数、お客様側からすると購入数。 販売数を出数、購入数を買い上げ数、買い上げ点数と言ったりもします。
ココがポイント
客単価を上げるというと、個々の商品の値上げを考えがちですが、客単価を上げるには、販売数を増やすことでも上げることが理解できたと思います。
平均単価と平均購入数の計算方法
上記の計算式に、数字を当てはめてみて見ましょう。
例)売上高 300万円/月 販売数 7500個 客数 1250人
平均単価は
300万円(月間売上高)÷7500個(月間販売数)=400円(平均単価)
平均購入数は
7500個(月間販売数)÷1250人(月間客数)=6品(平均購入数)
400円(平均単価)×6品(平均購入数)=2400円(客単価)
1250人(月間客数)× 2400円(客単価)=300万円(月間売上高)
あなたのお店の月間の数字を基にした、平均単価と平均購入数を算出してみましょう。
※大手ではレジに商品数や客数を打ち込むことにより、自動で平均単価や平均購入数が計算されます。もし自動計算されるレジを導入していなければ、伝票から拾い上げないといけません。中小個人店においても導入を考えて見てください。
平均単価と平均購入数を上げる方法
先の内容から、
客単価は、平均単価×平均購入数 であることを学びました。
平均単価は、売上高÷販売数。売上高を上げることによって平均単価は上がる。
平均購入数は、販売数÷客数。販売数を増やすことによって平均購入数は上がる。
ここでは、平均単価と平均購入数を上げることによって、客単価を上げる、具体的な方法を説明します。
1. 新商品の販売
現状の売れ筋商品よりも高い価格で投入することにより、平均単価を上げる。
カフェやファミレスのような業態なら、モーニング、ランチ、ディナーの時間帯ごとに、既存の商品よりも高い価格の商品を投入する。
自店の商品価格の上限を、店側の思い込みで勝手に決めてしまっているお店があります。思い切って、高価格帯の商品販売にチャレンジし判断しましょう。
2. 数量限定・期間限定・時間限定メニューの導入
現状の売れ筋商品よりも高い価格で投入することにより、平均単価を上げる。
上記以外にも、シーズンメニューやご当地メニュー、お薦めメニューや当店のみ販売などの商品を〇〇限定として、既存商品よりも高い価格で投入する。
3. セットメニュー・コースメニュー・飲み放題・食べ放題の導入
コース料理などは、単品客の客単価よりも高く設定することにより、平均単価がアップする。
また、大人数の場合、一人当たりの金額が前もって分かることも、客と店双方にとってメリット。
4. トッピングメニュー・サイドメニュー・アフターメニューの導入
購入数が増えることにより客単価がアップする。
トッピングメニューが注文されやすいよう、メニュー構成(メニューブック内容)を変更したり、サイドメニュー専用のPOP作成、従業員の声掛けによる食後のアフターティーのお薦めなどを実施。
下記はクロスセルと言って、お薦めすることにより一人当たりの買い上げ点数を増やす方法です。
<ファーストフード店>
客「ハンバーガー200円を1個とコーラ100円を1つ下さい」
(200円×1品+100円×1品=客単価300円)
「300円÷2品=150円 平均単価」
「2品÷1人=2品 平均購入数」
店員「今ならポテト150円を50円でおつけできますが?」
客「じゃあ、ポテトも下さい」
(200円×1品+100円×1品+50円×1品=客単価350円)
「350円÷3品=117円 平均単価」
「3品÷1人=3品 平均購入数」
5. 物販・テイクアウト・デリバリー・ネット販売・ケータリングの導入
販売経路を、店内利用客(イートイン)だけでなく、増やすことにより、客単価をアップする。
店内利用客だけでなく、他の販売方法を検討して売上高(トータルでの客単価)を上げる方法です。
中小個人店でもテイクアウトとネット販売は積極的に導入を考えましょう。
保健所等の許可が必要になることがある為、自店を管轄している役所等にて確認。
価格を上回る価値ある商品を販売しよう。
高価格帯の商品を導入する場合、誰もが高いと思っている食材(フォアグラ、キャビアなど)を使用する方法もあります。また、演出による付加価値をつける方法もあります。
何より大切なのは、「美味しい」ということです。
仕入価格の上昇により既存商品を値上げしないといけないときには、単に商品価格を上げるだけではなく、値上げ前よりも価値ある商品として販売しましょう。
全商品を値上げすると、お客様からは「このお店は値上げした」「このお店は高くなった」と思われてしまい、お客様の減少につながる可能性が高いです。
その他の客単価をアップさせる施策
■メニュー構成の変更
商品名の羅列だけでなく、商品画像を載せることによって、出数は増加します。サイドメニューにも商品画像を載せて、主力商品との組み合わせを店側が提案することも大切です。
・商品名・・・大きさ、フォント、色、食べたくなる名称
・商品説明・・使用食材、作る工程、発売までのストーリー
・商品画像・・見た目はすごく重要、画像の大きさ
・メニューの商品位置や大きさの変更
・差し込みメニュー・・・お薦め商品、シーズンメニュー
居酒屋などでコース料理を導入していなければ、導入を検討しましょう。コース料理価格は、単品客の客単価よりも高く設定することで客単価がアップします。
コース価格を設定する場合、松竹梅方式というのがあります。これは、価格を松10000円 竹8000円 梅5000円などと三つに分けて、真ん中の竹の粗利額を大きくして売る考え方です。
現在は、お客様のニーズに合ったコースとして、女子会コース、忘新年会コース、満腹コースなどと利用目的=コース名として販売するのが主流です。
■一品当たりの量を増やし価格を変えて客単価アップ
牛丼のように並、大盛、特盛などとして、価格を変えて販売します。ソフトドリンクもサイズに分け(S/M/L)価格も変更します。
例)カルボナーラ シングル870円 ダブル1340円など
■一品当たりの量を減らし購入数を増やして客単価アップ
居酒屋のように一人のお客様が何品も注文する場合、一品当たりの量を減らすことで購入数が増加します。
■味の薄いものを導入する
濃い味付けが多かったり、揚げ物や少量で満腹感を味わえるメニューが多い場合は、商品構成を見直します。
客数施策と客単価施策どちらを優先したらよいか?
店舗の状況にもよりますが、現在は客数のみを追求し売上高を上げるのは難しい時代です。
もちろん客数が減少に転じている中で、既存商品の値上げなどの客単価政策を実行すると、さらに客数が減少してお店の状況が悪化する可能性もあります。
その場合は、客数を増加させる施策を先にするべきです。
※まず、客数を増やして客単価アップ
客数が減少している居酒屋。
一部の商品を増量し価格は据え置きという施策を実施。客数は一気に増加。しかし、増量したことにより販売数が減り、原価率もアップ。ただ、当初の目的である客数増は達成し売上は増加。一か月の期間限定での施策としたので、その後基に戻し、新たに導入したグランドメニューによる客単価アップを実施。原価率も低下し、出数も増加、売上はさらにアップ。
このように、お店の現状を踏まえて、今、客数を増やすべきなのか、それとも客単価を上げるときなのかを判断し取り組むことが重要なのです。
売上が下がってきた、だから客単価を上げるとならないようにしましょう。
まとめ
ネットで「客単価を上げる方法」と検索すると沢山ヒットします。
やれる施策からやろうではなくて、今のお店にとって、客数を上げるべきか、客単価を上げるべきかをまず判断してください。
その後、客単価を上げる施策をするとき、なぜ、その施策をするのかを上記を参考に考えてみましょう。
そうすると今しなければいけない施策がどれなのかわかります。
中小個人店で客数や客単価のノウハウがなく、優先順位をつけるなら、客数>客単価です。
大手外食チェーンは経済情勢などのマクロと店舗の現状のミクロを詳細に分析しつつ実行しています。
大手はニュースになりやすく、情報がはいりやすいですが、大手が客単価を上げているからと言って自店の現状を分析することなく真似してしまうと失敗するかもしれません。