衛生管理

飲食店 データで見る食中毒の原因

Asuka Food Consulting

はじめまして。Asuka Food Consultingでは、長年の飲食事業経験で得た、知識や経験を基に飲食事業者様をサポートしております。 ※サポートのご依頼は、「サポート依頼ページ」をご覧ください。

ここでは、2020年現在、どのような食中毒が発生しているのか。どの様な場所で発生しているのかを、厚生労働省のデータを参考にしながら解説していきます。

テレビなどで食中毒のニュースを見たことがある方もおられると思います。しかし、ニュースになるのは、食中毒になった患者が多数いた場合などであり、食中毒は、ほぼ毎日と言っていいぐらい日本国内で発生しているのです。

 

食中毒はほぼ毎日発生している

食中毒発生事例速報

 

上記は、厚生労働省が発表している

令和2年(2020年)食中毒発生事例(速報)Excel形式 からの一部分の抜粋です。

今年の発生月日順に並べ替えています。

ほぼ毎日、日本のどこかで食中毒が発生しているのが分かると思います。

 

食品衛生法58条(中毒に関する届出、調査及び報告)により、医師が保健所に届け出ることになっているが、人により症状が異なることから、症状が軽い場合など、食中毒と認識せずに、自然治癒してしまうこともあり、病院に行かないケースも考えられる。従って、厚生労働省が発表している数字より、多く発生している可能性がある。

 

食中毒は、ほぼ毎日、日本のどこかで発生している

 

食中毒の事件数と患者数の推移

食中毒の事件数と患者数の関係を見ていきます。

 

「食中毒事件数・患者数の推移(全体)」には、全ての事件数と患者数が、

「食中毒事件数・患者数の推移(2人以上の事例)には、患者数が1名の場合の、事件数と患者数が引かれています。

 

 

上記は、厚生労働省が発表している、食中毒による、事件数・患者数の年度別推移です。

 

グラフをみますと、

事件数は、H11年から、H21年頃までは減少傾向にありましたが、それ以降の事件数は年間千件前後で推移しています。

 

食中毒の特性から、食中毒の原因となる物質(食べ物)を宴会等により大人数で食した場合、事件数が同じでも患者数は増えます。しかし、全体的に見るとグラフは右肩下がりになっており、患者数は減少傾向にあるとみることができます。

事件数が、近年ほぼ横ばいに対して、患者数が減少傾向にあるということは、食品を提供する側の衛生管理意識が上がっているとみることができます。

死亡数を見ると、毎年、食中毒による死亡者が出ています。死亡者数の割合は、患者数に対して非常に少ないですが、食品を扱う者は、食中毒により死亡することもあるという認識を持つことが重要です。

 

近年、食中毒による事件数は、年間千件前後発生している。
食中毒により死亡することもある。

 

 

 

上記は、患者数が2人以上の事例(1人の場合を除く)の推移表。

先の全体の推移と比べると、事件数と患者数の関係は、患者数2人以上の方が多いことが分かります。

これは、食中毒が発生した場合、一事業所において、複数の患者が発生している割合が多いことを意味します。

 

食中毒は一年中発生している

 

 

 

上記は、三か年の月別発生状況を表したグラフです。

食中毒は時期に関係なく、一年中発生していることが分かります。

 

食中毒は、季節に関係なく、一年中発生している

 

食中毒発生施設は飲食店が半数以上

 

上記は、食中毒の原因となる施設ごとの割合を表したグラフです。

食中毒の発生場所は、飲食店 54%、家庭 14%です。

 

食中毒の発生場所として、飲食店が半数以上を占めている

 

食中毒をおこす病因物質の上位三つ

病因物質別事件数の推移

 

 

平成12年度

➀サルモネラ菌
➁カンピロバクター
➂腸炎ビブリオ

が上位を占めていたが、

令和元年

➀アニサキス
➁カンピロバクター
➂ノロウイルス

による食中毒が大半を占めていることがわかる。

 

アニサキスによる事件数は多いが、患者数は少ない理由とは

 

(全体)病因物質別事件数発生状況(令和元年)

 

 

上記 全体 病因物質別事件数発生状況では、患者1人を含むグラフです。

➀アニサキス 30.9%
➁カンピロバクター・ジェジュニ/コリ 27.0%
➂ノロウイルス 20.0%

 

(患者数2人以上)病因物質別事件数発生状況(令和元年)

 

 

上記の二つの表の大きな違いは、アニサキスの発生状況です。

 

(全体)病因物質別事件数では、アニサキスの割合が、30.9%に対して、

(患者数2人以上)では、1.0%となっています。

 

これは、アニサキスという病因物質に起因するものだからです。

 

アニサキスって何?

アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。

その幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。

アニサキス幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生します。

アニサキス幼虫は、寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動することが知られています。

引用:厚生労働省 アニサキスによる食中毒を予防しましょう

 

アニサキスは、内臓から筋肉に移動する

 

厚生労働省の令和2年(2020年)食中毒発生事例(速報)でアニサキスを調べると、

原因食品として一番多いのが、サバ(サバの刺身・しめサバ)で、一部で、カツオの刺身が原因と言われるほど多くはなかった。

原因施設は飲食店が多いが、家庭でも多くおこっており、食材の入手先が分からないため、一概には言えないが、原因食品が、サバ・アジ・イワシが多いことから、海沿いの堤防などで、比較的簡単に釣れる魚種でもあり、また、青魚は鮮度が急激に落ちるため、アニサキスが筋肉に移動したり、アニサキス予防法を取らずに食した可能性も否定できない。

 

アニサキスによる食中毒の予防方法は

消費者の皆さまへ

◆ 魚を購入する際は、新鮮な魚を選びましょう。また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除いてください。

◆ 内臓を生で食べないでください。

◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。

※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。

事業者の皆さまへ

◆ 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。

◆ 魚の内臓を生で提供しないでください。

◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。

◆ 冷凍してください。 (-20℃で24時間以上冷凍)

◆ 加熱してください。(70℃以上、または60℃なら1分)

※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。

引用:厚生労働省 アニサキスによる食中毒を予防をしましょう

 

アニサキスは、傷をつけると死滅します。イカの刺身に包丁で、無数の切れ目が入っているのは、食感をよくするためとアニサキス対策でもあるのです。

運悪く、生きているアニサキスが胃に入った場合に発症する可能性があるのです。

 

下記表はノロウイルスとアニサキスのデータの一部分の抜粋だが、アニサキスは、食した割合に比べて、患者数が少ないのが分かる。

左の数字が、摂食者数(原因物質を食した人数)その隣が、患者数

 

また、回転ずしなどの寿司ネタは、上記のアニサキス予防法(-20℃で24時間以上冷凍)をとっているため、アニサキスによる食中毒がおこらないのです。

アニサキスによる食中毒が増えている原因は、上記のアニサキス予防法を実行しないお店がある為です。




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