計数管理

飲食店 図で学ぶ損益分岐点を下げる方法

Asuka Food Consulting

はじめまして。Asuka Food Consultingでは、長年の飲食事業経験で得た、知識や経験を基に飲食事業者様をサポートしております。 ※サポートのご依頼は、「サポート依頼ページ」をご覧ください。

損益分岐点が下がれば利益が出やすくなります。

では、どのようにすれば損益分岐点が下がるのでしょうか?

ここでは損益分岐点の下げ方について説明します。

また、各章ごとの問題を解くことにより、より理解が深まると思います。

writer:Asuka Food Consulting

損益分岐点を基礎から学びたい方↓
図で学ぶ損益分岐点の計算方法
損益分岐点を深く学びたい方↓
利益感度分析

 

損益分岐点を下げる二つの方法

損益分岐点を下げるには、

変動費を下げる

固定費を下げる

の二つの方法があります。

 

上記について、「図で理解する損益分岐点の計算方法」で使用した、図を使って説明していきます。

 

 

損益分岐点計算式

損益分岐点売上高の計算式を一つにまとめると、下記になります。

変動費を売上高で割ると、変動費率が計算されます。
変動費÷売上高×100%=変動費率

売上高を1(100%)として、そこから変動費率を引くと限界利益率が計算されます。
1(100%)-変動費率=限界利益率

固定費を限界利益率で割ると、損益分岐点売上高が計算されます。

図で学ぶ損益分岐点の計算方法参照ください。

 

変動費を下げる

原材料費率が30%から25%になれば、

変動費率は75%から70%に下がりますよね。

 

損益分岐点売上高の式に当てはめて計算すると、

損益分岐点売上高は、

固定費÷(1-変動費率)=損益分岐点売上高

60万円÷(1-70%)=200万円となります。

 

ようするに、

このお店の場合、変動費である原材料費を5%下げることができれば、損益分岐点売上高が現状の240万円から、200万円に下げることができるということ。

240万円以上売り上げなくても、200万円以上売り上げれば利益が出るようになったということですね。

 

 

 

※上記は原材料費を例にとっていますが、変動費は原材料費と人件費、諸経費です。それぞれが売上に対して適正かどうかを確認し、高ければ下げる工夫をしましょう。


問題1 現状の売上高が150万円、原材料費70万円、人件費50万円、諸経費20万円、固定費15万円の居酒屋の現状の利益または損失はいくらですか?

問題2 上記の居酒屋の損益分岐点売上高はいくらですか?


解答1 150万円-70万円-50万円-20万円-15万円=-5万円

解答2 変動費の合計は、70万円+50万円+20万円=140万円です。

変動費率は、140万円÷150万円×100%≒93.3%

損益分岐点の計算式にあてはめると

固定費÷(100%-変動費率)=損益分岐点売上高

15万円÷(100%-93.3%)=224万円となります。

 

解答1で、この居酒屋の現状は、5万円の赤字であることが判明しました。

損益分岐点売上高がわからない店主であれば、あと、5万円の売上があれば、赤字でなくなると思われている方もおられます。

実際には、あと、74万円(224万円-150万円)売上を増やさないと赤字が解消されないのです。

 

固定費を下げる

次に、固定費を下げることにより損益分岐点売上高を下げる方法を説明します。

固定費が60万円から55万円に下がれば、

損益分岐点は

55万円÷(1-75%)=220万円になります。

家賃交渉や金利の低い銀行等への変更による固定費の低減。

 

固定費である家賃などは、最初お店を借りるときに家主との交渉により決定されています。

従って、固定費を下げることは、変動費を下げることに比べて、ハードルが高いのです。

まずは、変動費の削減から取り掛かりましょう。

 

損益分岐点の活用方法

目標利益額を加算する場合は、

損益分岐点売上高の式の固定費に必要利益額を加算して計算します。

 

仮に目標利益額を10万円とした場合の損益分岐点売上高は、

(60万円+10万円)÷(1-75%)=280万円

目標利益10万円としたとき、損益分岐点は280万円となります。

 

売上を上げて利益を出し続ける

お店を継続的に運営するには、売上を上げて利益を出し続けないといけません。

大手においては、年間の売上利益計画を店長が作成し、それを達成するための計画を立案し実践します。(予算実績管理)

赤字の店舗はいづれ廃業となります。中小個人店では大手のように信用力もなく、手持ちの運転資金が底をつくと即廃業です。

損益分岐点を理解したうえで、現状はどうなのかをしっかり認識し、計画をたてて売上を上げて利益を出す施策を実行しましょう。

 

お店が潰れるのは、赤字だからではない

お店が潰れるのは赤字でつぶれるのではありません。運転資金がなくなれば潰れるのです。

上場会社も同じです。上場会社の場合は、決算書に「利益剰余金」と言う欄があります。利益剰余金とは、簡単に言うと、黒字の時の利益を貯めた資金のことです。

決算書をみると、今期が赤字の場合、補填するために利益剰余金の額が減少しているのがわかります。

 

フェアーの損益分岐点

フェアーにかかった販促費を経費(固定費)と考えると、

例えば、原価率25%の2000円のコース料理を販売するにあたり、販促として、チラシ作成費用1万円、投函人件費1万円、SNS費 5万円かかったとします。

販促費用を経費(固定費)と考えると

6万円÷(1-25%)=8万円

したがって販促費を回収するためのコースの必要売上は8万円となります。

必要販売数は8万円÷2000円=40セット

 

要するに、原価率が25%、原価額 500円、粗利額は1500円です。

この粗利額が販促費の6万円になった時点が損益分岐点と言うわけです。

6万円÷1500円=40セット

41セット目から粗利額が出るという計算です。

 


問題 1

ある飲食店の売上は、年商5億円です。固定費 2億円、変動費 2.5億円。この飲食店の損益分岐点はいくらですか?

問題 2

この飲食店の利益を来年は、8千万円にしたいと考えています。目標売上高はいくらですか?

問題 3

目標売上を上回り、6億円に達しました。

この時の、利益、売上伸長率、利益伸長率はいくらですか?

 


解答 1

2.5億円÷5億円×100%=50%(変動費率)

2億円÷(1-0.5)=4億円(損益分岐点売上高)

解答 2

(2億円+8千万円)÷(1-0.5)=5.6億円

解答 3

6億円×50%=3億円(変動費)

6億円-3億円-2億円=1億円(利益)

6億円÷5億円×100%=120%(売上伸長率)

1億円÷5千万円×100%=200%(利益伸長率)

 


問題 4

ある居酒屋で、2200円のコースを、原価率 35%で作りました。販促として、商品券を一万枚印刷。商品券は、1枚当たり、10円かかります。商品券の特典として、コースを、20%OFFとしました。また、商品券を配布するために、人件費として3万円必要です。

経費を回収するためには、商品券を何枚回収しなければなりませんか?また、回収率は何%ですか?

 

解答 4

コース原価 770円

売価 1760円 原価率 43.8%

13万円÷56.2%=231317円

231317円÷1760円=132枚(回収枚数)

132枚÷1万枚×100%=1.32%(回収率)


まとめ

 

損益分岐点を知ること。また、利益目標を設定し、それに向かって計画を立案し実行するのも店長の役割です。

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